中田永一 君が生きてる世界線 2 変わっていく原作

サラリーマンの僕が転生したのは、大好きなアニメ「きみある」の世界。悪役令息・城ヶ崎アクトに転生した僕は、最終回で死ぬヒロインのために全力を尽くす。だけど、シナリオはおかしな方向に動いていく。どうして主人公の蓮太郎は彼女と出会わない……?

中田永一が児童文庫で書き下ろす世界改変×悪役令息、第2弾。恋愛もアクションも起承転結の承転をギュッと書くので、展開がとにかくもどかしい! 決められた結末が近づくなか、変化していくキャラクターたちが愛おしい。読者は本来の姿を知らないのに、本物から離れていく切なさを感じてしまうのは、どうしてだろうか。

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中田永一 君が生きてる世界線 1 僕が悪役に転生!?

サラリーマンの僕が転生したのは、大好きなアニメ「きみある」の世界。しかも誰もが恐れる“悪魔”城ヶ崎アクトになってしまった。最後はヒロインの葉山ハルの病死が決まっているが、もしかして救えるのか!? アニメを知りつくした僕なら変えられるはず!

中田永一が児童文庫を書き下ろしていると知って、久しぶりに転生ものを読んでみた。世界改変×悪役令息で、今までにない読書体験だった……。世界を変えようとするのはもちろん、本人の知らぬまにキャラクターたちが変わっていく様子が新鮮。後書では「人生の節目=異世界転生もの」論として、学生や社会人になって大きく環境が変わったときに、居場所を確保するまでの時間だと説く。

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氷室冴子 ざ・ちぇんじ! 新釈とりかえばや物語

時は平安後期。権大納言の藤原顕通は2人の子どもに恵まれた。しかし、男勝りで活発な姉は男の子として、内気で気絶癖のある弟は女の子として育ってしまった。15才になった綺羅姫は元服し宮中で仕えることに。帝が気にする女性は、家で泣いている弟の綺羅君!?

とりかえばや物語氷室冴子がドタバタコメディに仕上げる。主人公たちの喜びと悲しみは読者の感情となり、終いには敵さえ愛おしい。氷室冴子の上手さに押し倒されるようだった。姉弟それぞれ成長する姿にハラハラしっぱなしで終盤まで飽きがこない。綺羅姫、綺羅君、大好きだ。源氏物語女三宮の心境がわかったのも大きな収穫だった。もしも氷室冴子ピカレスクロマンの源氏物語を書いていれば……。

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