中井治郎 観光は滅びない 99.9%減からの復活が京都からはじまる

2020年、新型コロナ感染症によって未曾有の危機に晒された観光都市・京都。観光バブルから一転、まさかの海外旅行者99.9%減。今までのままでいいのか、起死回生の一手が生まれるのか。世界に数多ある観光都市の中で、どのように復活できるか。

バリバリの観光バブルの中で発刊された「パンクする京都 オーバーツーリズムと戦う観光都市」が面白かったので読んでみた。今作はデータ量も物足りず、エッセイテイストが強め。タイムリーな話題をリアルタイムに読んだらあかんて言ってるやん! とオカンに怒られているようだった。様々な危機を乗り越えた茶道三千家や、この中で挑戦している老舗企業、淡々と物作りをする伝統職人など、足で書いた記事を読みたかった。次の著書を期待して待ちます。

熊谷亮丸 ポストコロナの経済学 8つの構造変化のなかで日本人はどう生きるべきか?

8つの構造(米中対立激化、国と企業の債務肥大化、金融システム危機、非接触社会、手詰まりの財政政策など)をキーワードに、これからの日本がどのように進んでいくかを考察する。

国内外問わずタイムリーな話題を中心に未来への方向性を解説。すべての主権国家は対等、平等であり、日本は今まで以上にバランスの取れた国だと思われないといけないと説く。どうして中国共産党がこれだけ強くなったのか、致命的欠点であったモラル・ハザードをAIで回避したと紹介。なるほど分かりやすい。上司に渡された本は基本的に速読して会社の資料棚に片づけるけど、これは思わず読んでしまった。

若竹七海 依頼人は死んだ

念願の詩集を発表し、売れ行きもよかった婚約者が突然自殺した。なぜ。相葉みのりは調査を友人であり探偵事務所に勤める葉村晶に相談するが……。身に覚えのないガン通知に怯える女性。画家が残した奇妙な絵と屋敷。探偵事務所の同僚の奇妙な生活……。葉村晶に持ちこまれた事件は、どれも奇妙な真相にたどり着く。

ガツン! と殴られるようなミステリーを読みたくて手にしたけど、これはドゴッ! とボーリング玉を投げられたような重々しい連作短編集だった。どうしてこんな嫌な物語を思いつくんだ。刃物の通しかた1つで、思いもしなかった美しい断面図が現れる、この感動。読後感の悪ささえ気持ち良すぎる。だからミステリーはやめられない。

依頼人は死んだ (文春文庫)

依頼人は死んだ (文春文庫)