伴名練 なめらかな世界と、その敵

並行世界を行き来する少女と、行き来できない“特殊”な少女が出会う表題作。伊藤計劃『ハーモニー』トリビュートの「美亜羽へ贈る拳銃」。国産SFの母たちとなった3人の女性を書く「ゼロ年代の臨界点」、書き下ろし「ひかりより速く、ゆるやかに」など全6編を収録。

小川哲『嘘と正典』と同時期に出たのと、あまりにも話題になっている(と感じた)ので読んでみた。前から書いているけど、僕のSF感度が本当に粗くて、一読した後に感想サイトを読んで「そういうことか」と気づくばかり。その中でSFを書く女性たちの姿を活きいきと表現した「ゼロ年代の臨界点」が素晴らしかった。こういうズゴーンッ! と心に響く作品と出会えると幸せだよね。

なめらかな世界と、その敵

なめらかな世界と、その敵

枝廣淳子 プラスチック汚染とは何か

新しいエコな素材として登場し、便利さゆえに過剰に生産、消費されてきたプラスチック。大量廃棄による海洋汚染問題やマイクロプラスチックが話題となる中、レジ袋やストローの廃止が始まった。連日報道される内容だけでなく、世界の動向、環境政策を網羅的に解説する。

岩波ブックレットを読んだの初めてかも。プラスチックの使用ゼロって極端すぎない? 回収や処理の方法でカバーできない? と思っていたので読んでみた。色気も派手さもないんだけど(もちろん必要ないけど)、現状のプラスチック問題がしっかり理解できる1冊。

プラスチック汚染とは何か (岩波ブックレット)

プラスチック汚染とは何か (岩波ブックレット)

金成隆一 ルポトランプ王国2 ラストベルト再訪

アメリカ都市部でトランプ支持者を探しても見つからない。実際に支持されている現場に行くと、そこは「もう1つのアメリカ」だった。その続編である本書はトランプ王国設立後、支持者の心境を追う。都市と地方の狭間にある郊外、深南部(ディープサウス)に広がる熱心な「バイブル(聖書)ベルト」の人々は、トランプ大統領をどう評価するのか。

豊かだった中間層がどうしてトランプを選ぶのか、その動機がよくわかる。二極化ではまとめきれない新しい層が出てきたことを取り上げたり、民主党の敗北を掘り下げたり、読み応えは前作以上だ。これを読むとニュースが面白くなるので、次の選挙後も出してほしい。

ルポ トランプ王国2: ラストベルト再訪 (岩波新書)

ルポ トランプ王国2: ラストベルト再訪 (岩波新書)