米澤穂信 インシテミル

アルバイト情報誌に掲載された時給1120百円。誤植とも思われた高額の被験に応募し、選ばれた12人にはそれぞれの思惑があった。地下施設に収容された彼らに用意されていたものは、ミステリーのガジェットと殺人犯人当てゲームだった……。

どストレートのミステリーが読みたい俺の気持ちに応えてくれ! と久しぶりに米澤穂信。もしかしてデビュー作以来かも? クローズドサークル型で「そして誰もいなくなった」系の作品は、犯人当てというより大枠をどう見せるかがポイントになる。逆算した物語にもなるので、そこが見え見え。今作は粗さを物語でカバーしているけど、良くもコミカルで、悪くもパワフル。

インシテミル (文春文庫)

インシテミル (文春文庫)

金成隆一 ルポ トランプ王国 もう一つのアメリカを行く

誰があのような男を支持するのかニューヨークではわからない。しかしアパラチア山脈を越えると、民衆の熱意は一変する。そこには弱ったアメリカを何とかしてくれる男だと、期待する人々がいた。支持層の分析ではなく、リアルに声を挙げていた人たちのインタビュー集。

アメリカ都市部でトランプ支持者を探したが見つからないので、実際に支持されている現場に行けば、そこは「もう一つのアメリカ」だったという話し。豊かな中間層は、どうして現代アメリカで夢無き貧しい中間層になってしまったのかを民衆に聞く。その敵視は移民であり、中国であり、献金で肥えた政治家たちだった。

千宗屋 茶 利休と今をつなぐ

利休の末裔、武者小路千家の次期家元・千宗屋が解説する茶の系譜と、現代の「茶」とは?

再読。戦国時代に千利休によって一つの完成を迎えた茶道。現代にたどり着くまでの系譜がすっごいわかりやすい! どのようにお茶と触れ合うかを交え、千宗屋が現代に位置づける茶道の説得力がすごい。

茶―利休と今をつなぐ (新潮新書)

茶―利休と今をつなぐ (新潮新書)