オキシタケヒコ おそれミミズク あるいは彼岸の渡し綱

山中の牢獄に囚われた少女、ツナはぼくが行くと微笑んで迎えてくれる。「ひさしや、ミミズク」。怖い話しを聞かせる2人の関係も10年が経つ。しかしそんな異常な日常は突如揺さぶられる。ぼくが関わっている世界、これは夢か現か。

Twitterで話題になっていたので読んだけど、全然合わなかったとだけ。そんな自分に残念。

恩田陸 蜜蜂と遠雷

芳ヶ江国際ピアノコンクールを制したものは、S国際ピアノコンクールでも優勝する。若いピアニストたちだけでなく、ベテラン審査員たちも認めるジンクスをもったコンクールに、稀に見る天才たちが集まる。著名なピアニストが推薦する、ピアノを持たない無名養蜂家の少年。かつてコンクールを総なめしたものの、13歳で急遽引退してしまった少女。ピアノ人生最後のコンテストに挑む楽器店サラリーマン。名門音楽院から優勝候補と呼ばれる青年。審査から本戦まで、才能を持った人たちの苦悩と喜び。

天才はいかにも天才だし、審査員の鋭さが、まるで読者まで理解できるかのように刺激的に読ませる。そして登場する人々の疲労感までシンクロしていくようで、中盤以降がめちゃくちゃしんどい。総じて脇役まで際立ち、誰もが輝いている素晴らしい小説だった。最後はもっとパーティー感欲しいんだけど、あっさり書くのが恩田陸なのか?

蜜蜂と遠雷 (幻冬舎単行本)

蜜蜂と遠雷 (幻冬舎単行本)

恩田陸 光の帝国 常野物語

ある人は膨大な量の書物を記憶し、ある人は遠くを見通し、ある人はその者たちを見守り続けてきた……。不思議な力を持った人々は息を潜めながら、現代社会でその運命を受け入れていた。ひっそりと暮らす常野一族を書く連作短編集。

蜜蜂と遠雷』を読む前に、素晴らしかった記憶があったのでこちらを再読。それぞれの物語が染みる染みる。一族に生まれたわだかまりと、その運命への嬉しさを巧みに書く。表題作は、常野の人々ではない読者まで、その世界に吸い込んでしまう。誰もがあの一節で心を震わせることだろう。再読しても一級品。忘れたころにまた読みたい。

光の帝国―常野物語 (集英社文庫)

光の帝国―常野物語 (集英社文庫)