冲方丁 テスタメントシュピーゲル3 下

近未来ウィーン。人種・文化・技術・遺産が集結する国際都市ミリオポリス。公安高機動隊MSS、警察部隊MPBはリヒャルト・トラクル率いるプリンチップ社の誘導に屈してしまう。残された最後の切り札は1枚。涼月が敵を蹴散らし前に進むのみ。ミリオポリスを疾走し、善きつながりの感覚とともに、少女たちは最終決戦に臨む。「あたしたちは大丈夫だ」。
思い返せば、実はオイレンシュピーゲルスプライトシュピーゲルも3巻でもういいやと読むのをやめていたんだ。でも「もう士郎正宗はいらない。」(リンク先はもうなくなっているけど)の一言に驚いて、4巻を一気に読んだ時のあの興奮。そしてテスタメントシュピーゲルの面白さに震えて、それから長いこと待たされて、僕は結婚までしてしまった。テスタメント2のKindle連載が始まった8月の熱い夜。更新のタイミングで休日や出張に移動を調整した。年末に出た3上。4月には子どもが生まれて、寝かしつけてから最終巻を読んだ。シリーズ中でもっとも激しい戦闘が書かれた上巻だったが、下巻はとても静かだった。もちろん数々の見せ場、山場、盛り上げがあるにも関わらず、粛々と静かに終わりを迎えていく様子は、僕の心の鏡写しのようだ。これ以上の読書体験が今後ないとは思わないが、今までにない満足感、安堵感に包まれていることは間違いない。シリーズ完結に、感謝の気持ちを。

冲方丁 テスタメントシュピーゲル3 上

近未来ウィーン。人種・文化・技術・遺産が集結する国際都市ミリオポリス。公安高機動隊MSS、警察部隊MPBはリヒャルト・トラクル率いるプリンチップ社の誘導に屈してしまう。残された最後の切り札は1枚。涼月が敵を蹴散らし前に進むのみ。散りぢりになった特甲児童を再結集させるため、唯一残された移動手段を使い、ミリオポリスを疾走する。鏡合わせの物語を終えるために。
テスタメントシュピーゲル3 下を読む前に再読。3下を読み終えての感想としては、今までのアクション・シーンの集大成だったことに気づく。やっぱりすげぇ。孤独な共闘シーンが泣ける。今までの兵器や犠脳体、それに戦争のプロたちと特甲児童たち。全部をあの文体で、超高速で撹拌しながら一気に読ませる。戦闘か激励か、リヒャルト・トラクル率いる凶悪集団が悪巧んでいる会話しかない。とても尊い1冊。

黒木あるじ 全国怪談 オトリヨセ 恐怖大物産展

全国怪談2冊目。北海道から沖縄まで各都道府県にまつわる怪談を紹介。ホロリから廃墟、UFOもあって、幅広くて好きなシリーズなんだよなあ。大阪と岡山の舞台は実在するようなので行ってみたい。