ジャック・カーリイ キリング・ゲーム

上司に嫌われながらもコンビニ強盗の一件で表彰され、嫌々担当した臨時講師は人気もでて、少し有頂天で調子にのっているカーソン。一方、ルーマニアの心理実験で歪められた失敗作が、街で密かな復讐を始めた。
シリーズ最高の『ブラッドブラザー』に劣るのは仕方がないとしても、いつものシリーズが帰ってきてくれた充実感は間違いなくある。馴染めない組織、恒例の新しい恋、くだらないセリフまわし、大切な相棒。それに殺人鬼。なれ親しんだ世界観に、新しい刺激。トリックは盛りすぎでしょう(笑顔)。超満足だけど、シリーズを歯抜けで出すのはやめてほしいなあ。

キリング・ゲーム (文春文庫 カ 10-7)

キリング・ゲーム (文春文庫 カ 10-7)

早坂吝 虹の歯ブラシ 上木ライチ発散

援交女子高生探偵・上木ライチが再び登場。ラブホテルで監視カメラに残された殺人事件。密室で腕を切断された教祖。現場に残された遺体のカラーコピーなど、次々と奇想天外なトリックが明かされる短編集。
『〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件』の早坂吝でした。それ以上の語りようがなくて、1作ずつはいいんだけどさ。

ビル・ビバリー 東の果て、夜へ

組織で道路の監視役を務める15歳のイースト。上からの命令で、少年たちはウィスコンシンまでの長い旅に出る。組織のために、裏切った一人の男を殺さなければならない。暴力を秘めた弟たちとの2000マイル。
ロードノベルいいよね! と読み始めた英国推理作家協会賞最優秀長編賞、同最優秀新人賞、全英図書賞、LAタイムズ文学賞など、四冠の受賞作。雰囲気が乾きすぎてめっちゃ地味なんですけど。でも潤う瞬間に心弾むんですけど。何も分かっていない少年たちのドライブ中に、翻弄されて疲弊していく主人公が本当に辛い。長いエピローグとしてしっとりと書かれる終盤が素晴らしく、ゆっくりと余韻に浸ってほしい。

東の果て、夜へ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

東の果て、夜へ (ハヤカワ・ミステリ文庫)