名梁和泉 二階の王

何年も姿を見せず、引きこもったままの30歳の兄に苦悩する家族。「悪因」に感染した「悪果」を倒すために集まった男女6人。彼らだけが感染した人間を、五感を頼りに見分けることができた。急激に感染を広げる「悪因」のどこかに、感染源があるはずだが……。

ホラー小説が読みたい! あれじゃ満足できない! これは当たってくれ! と手にした1冊。霧が濃くなっていくような序盤から、不透明感が続く中盤がはめちゃくちゃ面白い。「悪因」との戦いだけでもスリラーとして良かったのではと思うけど、皆さんどうでしょう。

二階の王 (角川ホラー文庫)

二階の王 (角川ホラー文庫)

山本豊津 アートは資本主義の行方を予言する

現代アートはわからないと言われる。なのに、どうして現代アートは資本として取引されているのか。東京・銀座で現代アートを取り扱う老舗・東京画廊のオーナーが語る現代芸術史。

面白かったと後輩が貸してくれた。古美術と違い、現代芸術(というか今作られているもの)は作り手と買い手が一致するから明確でいいな。今までにない新しい価値を訴えるという点が理解できて、ちょっと学べるいい本だった。

アートは資本主義の行方を予言する (PHP新書)

アートは資本主義の行方を予言する (PHP新書)

澤村伊智 ぼぎわんが、来る

田原秀樹を訪ねて、奇妙な女が来社したという。対応した後輩社員は、腕に噛み傷のような怪我を負い、原因不明の熱を出して入院してしまった。それは昔、祖父が言っていた「入れてはいけない。答えてはいけない」なにか、”ぼぎわん“なのではないか。田原は家族を守るために、女性霊媒師の比嘉真琴に頼るが、奴の力は想像以上に強烈で……。

怖ーいホラーが読みたい! と手にした1冊。中盤までは一般人家族が困惑する和製ホラーで良かったけど、二転三転してフリーライターが活躍してアレレ? みたいな。『リング』3部作をまとめてしまった印象で、変に説明しなくて、怖いままで良かったのでは?

ぼぎわんが、来る (角川ホラー文庫)

ぼぎわんが、来る (角川ホラー文庫)