森博嗣 デボラ、眠っているのか? Deborah, Are You Sleeping?

スーパーコンピュータと同時に、生殖可能な一族がフランスの修道院にいることがわかった。調査に入ったヴォッシュ博士は日本からハギリを呼び寄せた。同時にナクチュの頭脳が再起動。新たなトランスファの存在が明らかになった……。

森博嗣のWシリーズ全10巻、4巻はフランス編。この舞台はあれらしいけど、記憶になくて困ったわ。他のシリーズでも同じく、電脳戦を書かせると実に渋くて格好いい。

ジョー・イデ IQ

仲間は敬意を表して彼のことを“IQ”と呼ぶ。探偵・黒人青年アイゼイアは、元ギャングの金持ちドッドソンから、仕事を請け負うことになった。大物ラッパーを狙う殺し屋をさがすのだが、なんと凶器は巨大な犬! それなら人ではなく、犬を追うことにした“IQ”とドッドソンだが……。

テンポのいい“IQ”の今の物語と、過去の事件を書いた少年アイゼイアの物語が交差して、この面白さはミステリーと冒険小説の融合で、ガッツリ読ませにくるじゃない! そして探偵へとならざるを得ない悲しき成長譚。2作目へと余韻を残すエピローグといい、こんなシリーズが始まれば応援したくなるんだよね。

IQ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

IQ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

小原健右 大鐘良一 若田光一 日本人のリーダーシップ ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験II

日本の宇宙開発を行うJAXAにとって、国際宇宙ステーションの長期滞在者を出すこと、その先にある「船長」、世界を率いるリーダーを作ることは悲願だった。どうして技術者出身の若田光一アメリカ、ロシアを抑えて船長になれたのか。その資質に迫るドキュメント。

前作では密室下でのテストを通して様々なリーダーシップ論、フォロワー論を展開した迫力ある傑作だった。今回は続編として、国際宇宙ステーションのトップにまでたどり着いた若田光一ひとりに照明を当てる。数人が語る若田像は大変地味だが、この1冊で語られる努力と孤独は凄まじい。クルーであることと、船長であるための資質はここまで違うものなのか。その存在がどれほど特別か知りたければ、前作と合わせてぜひ読んでください。