アンソニー・ホロヴィッツ カササギ殺人事件

1955年7月、パイ屋敷に尽くした家政婦の葬儀がとり行われた。鍵のかかった屋敷で、掃除機のコードに足を引っかけただけの事故死なのか。真相は誰も知らないが、彼女の死によって小さな村に不穏な空気が蔓延したことは間違いなかった。そして第二の死。不治の病いを抱えた名探偵アティカス・ピュントの登場によって混乱は村人から読者まで……。

国内の賞で5冠を達成した本書。古典へのオマージュともいえるザ・本格のスタンダード×現代サスペンスのスピード感に満足させられるボリュームたっぷりの傑作。スケール感とか、オチの感触とか、読んだ人たちと語りたいたくなるド本格だ。これ以上書くと面白くなくなってしまうので、ここまでにしておきます。素晴らしかったです。

カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)

郷内心瞳 拝み屋備忘録 怪談双子宿

東北・宮城県で拝み屋を営む郷内心瞳が出会った怪談の数々。

聞きまとめた怪談ではなく、55話のドキュメンタリーに近いかな。これを読んで気づいたのは出会い系怪談より、収集系怪談が好きなんだなということです。「怪談狩り」とか「瞬殺怪談」とかです。オススメの収集系怪談あれば教えてください。

拝み屋備忘録 怪談双子宿 (竹書房文庫)

拝み屋備忘録 怪談双子宿 (竹書房文庫)

岩波書店編集部編 日本古典のすすめ

万葉集』から『雨月物語』に至る日本の代表的古典14篇を、それぞれの専門家が解説する。

タイトルまま、とても優しくかつ専門家が解説する岩波ジュニア新書にふさわしい1冊。それぞれ切り口がまったく異なるのがまた面白い。万葉集を都市文芸と解説し、平家物語は成り立ち全般だし(一番面白かったかも)、膨大な源氏物語は突っ込んで書いてもらいたかったかな。10年前、20年前の自分が、古典関連を読むようになっているとは思わなかっただろう。時間と変化を感じさせてくれた令和最初の感想だ。

日本古典のすすめ (岩波ジュニア新書 (325))

日本古典のすすめ (岩波ジュニア新書 (325))