斉藤洋 ルドルフともだちひとりだち

1匹の魚を盗んだことから、知らない街・東京に来てしまった黒猫ルドルフ。大きなトラ猫「イッパイアッテナ」と出会い、飼猫ブッチーとも友達になった。それから1年、ブルドッグのデビルともひと段落。忘れられない故郷のリエちゃんのことが心配になってきたルドルフは……。

シリーズ5作目が出るというので続けて再読(結局延期したけど出るのか?)。ノラ猫、飼猫、飼い犬、それぞれの立場を超えて、楽しくフラフラした日常系と、巻き込まれ型の任侠ものが融合するので面白い。宴会の楽しそうなことといったら。とってもハードボイルドな空気で終えるのも、シリーズ2作目が一番好きな理由だ。

ルドルフ ともだち ひとりだち (児童文学創作シリーズ)

ルドルフ ともだち ひとりだち (児童文学創作シリーズ)

斉藤光政 戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌」

青森県の旧家から膨大な古文書が発見された。門外不出の記録「東日流外三郡誌」には、大和朝廷に消されてしまった東北文明が書かれていた……。1992年の訴訟をきっかけに始まった真偽論争。東奥日報の記者が取材を重ねると、奇妙な背景が見えてきたが……。偽書事件の終焉から、終わらないその後のエピソードを追加。

オカルト番組「ダークサイドミステリー」の特集が面白く、Kindle版がセールだったので読んでみた。事件のまとめではなく「東日流外三郡誌」の訴訟問題から関わっていくので、スライム級のモンスターかと思いきや、極悪でパワフル、方向性を選ばないクレイジーな風貌に変化していく流れに引っぱられる。それを世に問うた偽書製作者への、人々の見解がとても痛々しい。追加された後記でオウム真理教が利用した様子も書かれている。産み出されたエネルギー故か、ifの歴史は魅力的で、こうも罪深いのか。

斉藤洋 ルドルフとイッパイアッテナ

1匹の魚を盗んだことから、長距離トラックに乗って東京にまで来てしまった黒猫ルドルフ。降りたところで出会った巨大な猫の名前は「イッパイアッテナ」。自分はどこから来たのか、帰れない飼い猫の運命は……。2匹の愉快で学のあるノラ猫生活が始まる。

青少年読書感想文全国コンクール課題図書・第27回講談社児童文学新人賞受賞作。シリーズ5作目が出るというので久しぶりに再読(結局延期したけど出るのか?)。小学生のころから何度も読んでいるのに、思い出補正で色あせない。楽しい2匹のフラフラした日常系と、キャラクターで描く任侠ものの融合がたまらん。

ルドルフとイッパイアッテナ

ルドルフとイッパイアッテナ