黒木あるじ 無惨百物語 みちづれ

隣部屋へのドアの隙間に。降りてくるエレベーターに。帰り道に見た家の窓に。気づいてしまうと「みちづれ」に、もう日常には戻れないかもしれない。実話怪談の収集家による百物語シリーズ

シンプルに怖く、現代から回想まで時間軸も豊富で、凶悪なものやオカルトもあり、このシリーズは文句なしの塩梅。シリーズを少しずつ読んでいきます。

東京子ども図書館 エパミナンダス 愛蔵版 おはなしのろうそく1

読み聞かせのための「おはなしのろうそく」。活字を少し大きくし、子どもが読んでも楽しくなるよう再編集した小型のハードカバー本。ヨーロッパの昔話、指遊びなどを収録。

銀座の子どもの書店、教文館ナルニア国で可愛さのあまり購入してしまった。両手で包み込めるようなサイズ感で、その中に昔話が詰まっているかと思うとたまらん……。しかし「十二のつきのおくりもの」など温かいと見せかけて残酷なオチもあり、現代サスペンス以上に後味悪くない? (めっちゃ好きです)。読み聞かせても説明できないなあ。

エパミナンダス 1

エパミナンダス 1

有栖川有栖 江神二郎の洞察

1988年4月、英都大学に入学したばかりの僕は、推理小説研究会に入部する。ある人とぶつかって落ちた1冊の縁がきっかけだった。アリス最初の事件「瑠璃荘事件」。八坂神社から帰る大晦日を書いた「除夜を歩く」、マリアとの出会いから入部までを書いた「蕩尽に関する一考察」など短編9編を収録。

2012年の発売当初にハードカバーで購入して、ここまで寝かせてしまった。シリーズらしい作品もあれば、有名古典ミステリーのオマージュもあり、物足りないけど寂しさは埋めてくれる1冊。「ハードロック・ラバーズ・オンリー」はビックコミックに掲載される読切のようなエモさ。あっさりしているけど、こういう作品が読みたいとなお切望する「桜川のオフィーリア」が格別。誰もが思うことですが、早く新作長編が読みたい。