池田理代子 宮城まり子 石垣綾子 ほか わたしの少女時代

少女たちの前にはさまざまな可能性が開けています.大きな希望を抱きそのために努力を積み重ねるなかで,自分の人生を選ぶことができるのです.この本では,社会の第一線で活躍する先輩十三人がみずからの少女時代を語っていますが,その一つ一つは人生を歩み出すみなさんに勇気と自信をあたえることでしょう。

79年に発刊された岩波ジュニア新書3の本書。あらすじが素晴らしかったので、そのまま引用しました。書き手の時代もあって、第一線で活躍している女性は戦争体験者ばかり。この体験や捉えかたが幅広く、戦争とは何かを考えさせられる。女性社会、差別意識についても理解が深まる。童話作家なかがわりえこ衆議院議員土井たか子など、学びへの姿勢がとても綺麗だ。芥川賞作家の林京子満洲での生活、原爆投下の実体験を生々しく書く。役者の娘として純粋に学業を欲した女優の沢村貞子「女学校へゆきたい」は、近代化への軋轢がわかる貴重な1編。素晴らしい本だった。復刊するなら是非勧めたい。

わたしの少女時代 (岩波ジュニア新書 3)

わたしの少女時代 (岩波ジュニア新書 3)

小川一水 天冥の標7 新世界ハーブ

男性24905名。女性27339名。成人1029名。残存人類、52244名。救世群の策略により、人類社会は絶望の淵に立たされた。小惑星セレスの巨大な地下施設に逃れた少年たちは、辛うじて緊急自治体を立ち上げ、地上のシティへ助けを求めるが……。

絶望の中、期待の面々が集合。しかし……。涙を流しながら奮闘する少年少女の姿に引き込まれてしまった。ここまで書いてくれた小川一水、ありがとう。ここまで読んできた俺、マジでよくやった! 大きく膨らんできた物語がグッと濃縮される面白さと、1巻へと繋がる気持ちよさ。最後まで読み通そうとするモチベーションを爆上げしてくるとは。

天冥の標Ⅶ 新世界ハーブC

天冥の標Ⅶ 新世界ハーブC

アンディー・ブランニング カリカリベーコンはどうして美味しいにおいなの? 食べ物・飲み物にまつわるカガクのギモン

タマネギを切れば涙が出る。ミントを食べれば清涼感を得る。誰もが知っていることだけど、何が起こっているかを化学的に伝えるのは難しい。私たちの食生活に関わることを、有機化学の視点から説明する。

ある高校の図書室で勧められていたので読んでみた。ビール瓶はどうして色付きなのか、お薬とグレープフルーツの関係など、食にまつわる化学トリビアを集めた1冊。イラストや写真、化学式が直感的にわかりやすく、説明というよりコラム。原題が「Why Does Asparagus Make Your Wee Smell? (アスパラガスを食べるとどうして小便は臭うのか?)」で、変更したのも察するしかない。