金原瑞人編 八月の暑さのなかで ホラー短編集

金原瑞人によって岩波少年文庫のために編まれた、歴史的名作を中心にした英米ホラー・アンソロジー

このアンソロジーのために新訳となっています。フランク・グルーバー「十三階」が世にも奇妙な物語風でシンプル・イズ・恐怖! サキ「開け放たれた窓」と、フレドリック・ブラウン「後ろから声が」がトリッキーな読み応え。ローズマリー・ティンパリ「サキ」は読み終わってから、作中と同じ会話を妻としていたことが当にホラー。本当に怖かった。Twitterで推薦されていたので読んでみたけど、ホラーは久しぶりだったなあ。

八月の暑さのなかで――ホラー短編集 (岩波少年文庫)

八月の暑さのなかで――ホラー短編集 (岩波少年文庫)

  • 発売日: 2010/07/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

伊吹亜門 刀と傘 明治京洛推理帖

維新前夜の京都。新政府と旧幕府の因縁穏やかならぬ中、若き尾張藩士・鹿野師光は佐賀から来た男・江藤新平と出会う。怪死した志士、密室下で発見された刺殺体、処刑直前に毒殺された囚人。動乱の中、事件を通してあるべき国の姿を語る2人だったが……。

第12回ミステリーズ! 新人賞を受賞した「監獄舎の殺人」を含む連作短編集。結果、第19回本格ミステリ大賞を受賞したので読んでみた。時代小説を入り口に、人が死ねば本格ミステリーど真ん中の推理議論が始まる。キリキリした緊張感の「監獄舎の殺人」がたまらん。時代背景が説明少なめと感じたため、得意分野ではない人は復習しておくと吉かと。

小野不由美 ゴーストハント7 扉を開けて

能登の事件から帰る道で、ナルは湖畔を見て立ち止まった。急遽滞在を決め、SPRを閉鎖すると宣言。戸惑うSPR一行に廃校の調査が入り、閉じ込められてしまう。重なる危機に、このままナルと麻衣は最後の別れになるのか……。

完結のためシリーズをまとめる事件も急遽の調査依頼も、どちらも今まで以上にヘビー級。シリーズ通して“残留する思念”が丹念に書かれ、「残穢」の原石をなで続けているようで、つくづく怖い作品だった。麻衣とナルの出会いから、よくここまで大きな怪我をせず、トラウマもなく歩んでこれましたね。お疲れさまでした。好きなのは、超能力少女の葛藤を書いた3巻と、崖っぷちの選択が迫られる4巻です。

ゴーストハント (7) 扉を開けて (幽BOOKS)

ゴーストハント (7) 扉を開けて (幽BOOKS)