2007-12-27から1日間の記事一覧

乙一 暗いところで待ち合わせ

再読となる乙一『暗いところで待ち合わせ』。目の見えない女性と、その家に潜む男の物語。流れを作るために入れられた”セツナサ”に、どうしても違和感を感じてしまったんだけど、ヒッチコックのような緊迫感がブラス方向に働いて気持ちいい。ただ、見えない…

太田忠司 月読

本格ミステリ・マスターズで手にするのは二冊目? 作家では初読み? 太田忠司『月読』を読む。人が死ぬと残す月導と、その中に潜む意思を読むことができる数少ない月読。自分の出生を知っていく少年たちの物語も面白いんだけど、とにかくキャラクタの作りが…

伊坂幸太郎 アヒルと鴨のコインロッカー

伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』を読む。なるほど。こういった作品が絶賛されるのか。現在の本屋強盗の真相と、二年前のペット虐殺事件の結末。その二つが絡まって、最終的に登場人物たちの一言が際立ってくるのか。そう思わせるには弱いんじゃな…

東野圭吾 むかし僕が死んだ家

東野圭吾『むかし僕が死んだ家』を読む。タイトルが凄く良いよねえ。謎の作り方も実にシンプルなのに、最後まで読ませて、タイトルの意味も分かって、圧倒的な腕前を感じさせるのは確かです。しかし! キャラクタの薄さや軽薄さだけはいただけない。まるでジ…

友桐夏 白い花の舞い散る時間

2005年度ロマン大賞佳作受賞の友桐夏『白い花の舞い散る時間』を読む。同系列の塾に通う少女達はネットで出会い、5人の夏合宿が始まるが……、といったリリカル・ミステリ。出来としては及第点なのですが、ちゃんとしたミステリがコバルト文庫で読めるのであれ…

ひぐらしのなく頃に解 罪滅し編

07th Storming Party製作。雛見沢村連続怪死事件の翌年、少年の過去と少女の今が交差して生み出される第六の惨劇『ひぐらしのなく頃に解 罪滅し編』を終了。満面の笑顔で傑作だ! と表現しましょう。もう話しの内容なんてプレイヤの期待を打っ殺して、延々と…

三浦靖冬 花喰幻灯機

成人指定されていないことが疑問な、初期短編を収録した三浦靖冬『花喰幻灯機』。身長150cm以下の女の子が……、といったことを中心にしていますが、読みどころは背景の細かさと昭和のまま時が止まったような不思議な世界。看護士になるために作られたアンドロ…

山田芳裕 大正野郎

大正時代風の生き方を追求しようとする、現代日本で芥川龍之介を愛した男を描いた『山田芳裕傑作集 1 大正野郎』。一つの奇人漫画であり、下宿先の娘さんに恋をするシンプルな話。そして、自分のプライドを貫き通す非モテ文学でもあります。久しぶりの山田芳…

小川洋子 博士の愛した数式

シングルマザーの私が新しく派遣された先は、記憶が80分しか続かない数学者の家だった小川洋子『博士の愛した数式』。うーん、素晴らしい料理小説であり、数学を好きになれるかもしれない話。あまりにも綺麗にまとまっている小説を読むと違和感を感じてしま…

わかつきひかる 後夜祭 ― 君をイジメたい

わかつきひかるの二作目。たまたま出会った青年に処女を奪われ、実は彼が補助教員だったために放課後奴隷になっていく『後夜祭 ― 君をイジメたい』。わかつき作品では教師と生徒ものが数作あって、それが茶道部員か生徒会長かチアリーダーかの違いのみ。話し…