2008-01-17から1日間の記事一覧
まさかイコールで結ばれているとは思っていなかった西澤保彦『神のロジック 人間のマジック』。序盤の探偵遊びは好きになれないものの、中盤からラストへかけてのサスペンスは格別。その中で恋も盛り上がって、”少年の決意”によるトリック明かしがまた効果的…
なんだ俺は京極堂シリーズをキャラクタで読んでいたんだ、と気づいた京極夏彦『邪魅の雫』。これはこーこーこういうミステリなんですよって書評や、前に読んだアレに似てるよねコレなとことかって感想を読んで、ハーナルホドとなるまでの道が長いよ。トリッ…
ミステリなのか、サイコホラーなのか。あいまいなところで読ませる道尾秀介『シャドウ』。話題になった『向日葵の咲かない夏』と同じく少年ものだけど、幼馴染の少女が加えられるだけで悲惨さはグッと増してよい。出来としては後者に劣るけど、オンライン公…
上下あわせて3000円強。01年から6年にわたる連載から少年犯罪ブームが去った中、ネームバリューなど含めてどれだけ売れているのか気になる貫井徳郎『空白の叫び (上)』((下))。最後まで転がり落ちるシドニイ・シェルダン風ジェットコースター・ノベル…
第3部『剣嵐の大地』発売にあわせてゆっくり再読中のジョージ・R・R・マーティン『七王国の玉座〈3〉 ― 氷と炎の歌〈1〉』。2部を思い返せば、1部(とくにこの巻)は地味だ。言葉のやりとりだけで進むけど、だからこそ後に続くずる賢さや、過去との確執なん…
そりゃスルメで釣っていたやつらに襲われたら悔しい有川浩『海の底』。今の子ってザリガニ釣りをしないんだってね。小学生のころは御所の池でザリガニや亀を釣ったんだけどなあ。そんな懐かしさや、時間を忘れて一息に読ませてくれて、泣かせるツボをガンガ…
薦めてもらった中でもベスト5に入るとみなが貴和『EDGE5 ロスト・チルドレン』がシリーズ完結。ありがとう御座いました。キャラクタで展開する極上のサイコ・サスペンスもの。でも実は、山田正紀『女囮捜査官』シリーズに堂々と肩を並べる(いやそれ以上!の…
最後まで読み通すしかねえ! と寝る間を惜しんだ読書は『神沈』以来(多分)な石黒耀『死都日本』。面白いとか出来がいいとかではなくて、なんとも読ませるパワーが凄かった。初っ端の噴火キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!! から連続していく脅威「神の手」。読むしかなか…
もう伊坂幸太郎は読まなくてもいいんじゃないかと思う、『重力ピエロ』が実によかった。手軽な家族小説としても読めれば、センスにあふれた犯罪ミステリとしても読める。目的を達成するため、ではなくもし……だったとしたら……ちょっと気持ち悪いかもね。プロ…
10年以上前の最先端飛浩隆『象られた力』。表題作の落としどころは流行っていたのか、それに影響を受けたマンガがアレとかソレとかなのか。文字が音を生み出す双子のピアニストと調律師の『デュオ』がなかったら、飛浩隆の凄さは感じとれなかった(作品云々…
とんだ傑作じゃないですか。ブラフにブラフを重ね合わせる能力合戦もの、な飛浩隆『グラン・ヴァカンス ― 廃園の天使 〈1〉』。一夏の、しかも永遠に続いちゃう夏の青春物語が始まって、世界崩壊の中で伝えられない恋をして、もう! どこまでも想像力をかき…
ロアルド・ダール『キス・キス』異色作家短編集1は、なんてユーモアに富んでちょっとお洒落な短編集なんだろう。名家具を手に入れるための駆け引き『牧師のたのしみ』、ベジタリアンに育てられた天才料理人の結末『豚』など、収録したセンスを本気で疑う爆笑…
飛浩隆『ラギッド・ガール ― 廃園の天使 〈2〉』が傑作であることは読めばわかるし、解説は賢い人におまかせ。大途絶が起こり、ゲスト(人間)たちが来なくなった世界に残されたAI。言いかえるなら、神様に作られたことを自覚しつつ、さらに神が目の前に現れ…
メエエェェ(´Д`)ェェエエ工! あの愛してくれた松浦純菜さえ非モテ怪物・八木剛士の妄想でしかなかった!? シリーズ第5弾浦賀和宏『さよなら純菜 そして、不死の怪物』がどうしようもない。純菜への思い3冊分、その結果がこれなのか。「続きが気になります」さえ…