2008-01-22から1日間の記事一覧

冲方丁 マルドゥック・ヴェロシティ

冲方丁『マルドゥック・ヴェロシティ』を読んでしまえば、『シュピーゲル』シリーズは「お乳でも吸ってろ」な離乳食みたいなもんだな。山風忍法帖にはないボリューム、つまりキャラクタにページを割いているのは今らしいのかな。マルドゥック・ヴェロシティ…

あおむら純 ドラえもん 人物日本の歴史 卑弥呼 / 空海

ドラえもんの名を借りた日本の伝記マンガで、とても勉強になる良作。読んでみたのは、卑弥呼の後を継ぐことになる少女を中心に邪馬台国とその時代を描いた『卑弥呼 - 弥生時代』と、神童と呼ばれた少年が一大宗派を確立させるまでを描いた『空海 - 平安時代…

鑑賞シリーズ 法隆寺献納宝物

『鑑賞シリーズ 法隆寺献納宝物』は、どう美しく、どして価値があるのかを端的に説明するテキスト。そしてガイドブックにして、最高の入門書になっている。法隆寺とその献納の歴史、理由、意味、それに重要な宝物をカラーで掲載してなんと380円。思わずオォ…

岡崎二郎 宇宙家族ノベヤマ(1)

(多分)岡崎二郎『宇宙家族ノベヤマ(1)』が傑作だ(と思う)。タイトルや表紙からして岡崎二郎が得意とするホノボノSFかと思いきや、とんでもない風呂敷の大きさを感じさせるコンタクトSFだった。 「この宇宙はDNAで満ちている」。宇宙から届いた信号に記…

古橋秀之 超妹大戦シスマゲドン

表紙から連想できるラストに泣いた『超妹大戦シスマゲドン』。『サキガケ! 妹塾』とでもいうような(多くの妹が戦う)内容で、有名なアニメ、コミック、エロゲを元ネタにしたギャグを織り交ぜながら全2巻完結! ネタ本でありつつ、ライトノベルや中華演義、…

山田正紀 雨の恐竜

ガッチリとした本格ミステリが読みたければ山田正紀『雨の恐竜』をお薦めするよ。14才少女3人の心を甘酸っぱく書いた青春小説のようであり(山田正紀の文体にびっくりだよ)(いい意味で)、その純真さを照らし合わせたような真っ直ぐな本格ミステリ。容疑者…

野村進 千年、働いてきました ― 老舗企業大国ニッポン

野村進『千年、働いてきました ― 老舗企業大国ニッポン』を読む。世界に類をみない、100年以上続く老舗が多く存在する日本。それら企業がどのようにして生き残り続け、また先端技術の場で活躍するのかを、軽い文体でドキュメントしている。なるほど”今”へと…

山田正紀 妖鳥 - ハルピュイア

帯の”密室大トリック!”って密室あったか? ともかく山田正紀『妖鳥 - ハルピュイア』の魅力を語るのはむつかしい。女性への不信感や、幻想的な雰囲気が、けっして上手くまとまっているとはいえない作品だからだ。妖鳥(ハルピュイア) (幻冬舎文庫)作者: 山田…

井上章一 つくられた桂離宮神話

井上章一の講演がえらく面白かったので、彼の代表的著書『つくられた桂離宮神話』を読む。建築家タウトが絶賛した桂離宮には、日本建築界の思想誘導が隠されていた……。どうしてタウトが桂離宮を見たのか? そのバックボーンを探ると、時代背景が見えていく。…

山田正紀 阿弥陀(パズル)

山田正紀『阿弥陀(パズル)』のマーケットプレイスはなに? 巨大密室と化したビルを舞台に、監視カメラに移っていたにも関わらず、エレベータに乗った女が消えた……という短くシンプルな作品。謎をディスカッションして解けたと思ったら、章末にまた次の謎が…

山田正紀 渋谷一夜物語

オヤジ狩りにあった小説家が「面白い話を聞かせろ」と即席で語りはじめる山田正紀『渋谷一夜物語』。「世にも奇妙な物語」に似た日常系の短編集で、後半は消化不良というか幻想的というかSFっぽいのがいくつか(序盤ほど切れ味が高く思えるのは、もしかして…