2008-01-23から1日間の記事一覧

石ノ森章太郎 古事記 ― マンガ日本の古典(1)

神が日本を作ったときから33代天皇までを稗田阿礼が暗唱し、太安万侶が書く。そうして作られた『古事記』より、上巻の日本神話ダイジェスト〜初代神武天皇誕生までを描いた石ノ森章太郎『古事記 ― マンガ日本の古典(1)』。岩戸にヤマタノオロチに白兎に………

田中哲弥 大久保町の決闘

ひさしぶりに(本当に)どうしてこの作品が好かれるのかなあ、と思った田中哲弥『大久保町の決闘』(読んだのは電撃文庫版)。西部劇の魅力が伝わってこなかったり、ギャグを薄ら寒く感じたりしたからじゃないかなあ、と思いつつ、この機会にいっきに読んで…

谷川流 涼宮ハルヒの分裂

みんな無事に進級、2年生になりました谷川流『涼宮ハルヒの分裂』。新章そうそう新たな敵がでてきたのはボチボチですが、終盤からの変な展開が面白い。敵つってもそうくるか! 高校生たち(主にハルヒ)が手を伸ばせる距離にいる、ってのがミソなんだろうな…

花村えい子 落窪物語 ― マンガ日本の古典(2)

花村えい子『落窪物語 ― マンガ日本の古典(2)』は、継母にいじめられている落窪姫君が、貴族男性や女房の助けによって救われていく、1000年前に書かれていた『シンデレラ』ストーリだ。「太平記」や「平家物語」といった軍記ものを抜いて、こんなに面白い…

山田正紀 宝石泥棒

”甲虫”を守護神とする少年ジローは、愛してしまった女ランを手に入れるために、”月”を求めて”空なる螺旋”へ仲間たちと旅立った……。山田正紀『宝石泥棒』は、氏らしさが詰まっていた1作。しかし古臭さがどうしても拭えなくて、(フォローじゃないけど)当時の…

浦賀和宏 世界でいちばん醜い子供

あの出来事から数日……浦賀和宏『世界でいちばん醜い子供』。同じ高校生活にしても、「毎日を楽しくしたいっ!」なハルヒが陽で、このシリーズは陰だなあ。浦賀和宏が書く屈折した学園生活は本当に癖があって、そこにズブズブに足をつっこんで読める者として…

キャロル・オコンネル クリスマスに少女は還る

本当は賛否両論のアクロバットを期待したんだけど、堅実なサスペンスだったキャロル・オコンネル『クリスマスに少女は還る』。誘拐された少女2人を追う刑事と女性心理学者の周辺をベースに、時々はさまれる少女の脱出劇がとにかく面白くて、このへん半端ない…

津原泰水 ブラバン

ページをめくる手も涙もとまんねえ! こんなに小説とのグルーブを感じたのは久しぶり。友人の死を機会に思い出す、熱中したあの日々……津原泰水『ブラバン』。序盤、楽器名がわからないから翻訳ものより読みにくかったけど、気にならなくなるんだよなあ。ギタ…

レスター・デル・レイ 逃げたロボット

岩崎書店冒険ファンタジー名作選よりレスター・デル・レイ『逃げたロボット』。ガニメデから地球に帰ることになった少年パウロとその家族は、彼の親友であり親でもある家事ロボットのレックスを売ることにした……。レックスの視点から物語られるから上記あら…

コリン・デクスター キドリントンから消えた娘

2年前に失踪したままの娘から手紙が届くが、モース警部は”彼女は死んでいる”と推理を展開するコリン・デクスター『キドリントンから消えた娘』。人の話を聞いて推理を展開するのみ、とまあ構成は地味な作品。だけどモース警部の考えかたや、巧妙に隠された伏…