2008-02-02から1日間の記事一覧

小林めぐみ 食卓にビールを4

俺もう本読む気力さえない。それでも少しだけ読みたい……。小林めぐみ『食卓にビールを4』は、疲れている寝しなに重宝する連作短編シリーズで、つくづく感謝しております。NHK風15分アニメとSF大切りと落語が混じったような小話、かな。物産展に行く人妻女子…

夢枕獏 沙門空海唐の国にて鬼と宴す 全4巻

遣唐使として長安に入った沙門・空海と、友人の書家・橘逸勢。彼らの見るものは新しく、百万人都市に魅了される。しかし帝が死ぬと予言する鬼たちが現れ、知らぬうちに巻き込まれていく空海たちであったが……。夢枕獏『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 全4巻』は…

夢枕獏 上弦の月を喰べる獅子

「まだ夢枕獏読んでないの?」と言われることは多々あれど、強烈な獏トリップに落ちている人に出会ったことがないと不思議に思ったのは『上弦の月を喰べる獅子』を読んだからでもあります。螺旋に魅入られた写真家と、オウム貝の幻を見た岩手の詩人、2人は出…

山本弘 アイの物語

未収録短編に書き下ろしを加えて、一つの長編にしてしまうあたり、ムムムやるな編集! それとも山本弘の腕前なのか。両方でしょう。ロボットによって人類が衰退した世界の中、一人の女性型ロボットが人に語り聞かせる『アイの物語』。どれもこれも面白いのだ…

フィリップ・リーヴ 移動都市

ボーイ・ミーツ・ガールとビルドゥングス・ロマンの魅力は圧倒的じゃないか、と教えてくれるフィリップ・リーヴ『移動都市』。60分戦争によって世界が終わってから1000年後、各都市は移動を繰り返し、弱小都市を食らう”都市淘汰主義”が成りたっていた。史学…

須賀しのぶ 流血女神伝 喪の女王 8 (全27巻)

雪山で両親と貧しいながらも幸せに暮らしていた少女。彼女のもとへ訪れた一人の男。王子の身代わりになった。奴隷から海賊へ、そして王妃へ。掘り下げられた幼年時代。日の当たらない場所で襲いかかる過去の記憶。そして、帰る場所への逃走……。須賀しのぶ『…

石崎幸二 首鳴き鬼の島

いやもう、ここまでつまらない会話文を数年読むことはないんじゃないかと石崎幸二『首鳴き鬼の島』。あまりにも形式的な、殺人、アリバイ調査、みんなの前で推理披露……その流れが意図的だとしても、この面白くなさには驚く。現代で起こった見立て殺人をどう…

加地尚武 福音の少年 虹のウロボロス

日曜日の午前で一気に読んでしまえた加地尚武『福音の少年 虹のウロボロス ― Good News Boy』がやっぱり面白い。いきなり巨大な力を手に入れ、国際紛争を阻止しようとする流れは、エヴァでいうところのやっとこさ1,2話ぐらい。中学生の痛々しさで物語が動き…

宮部みゆき 楽園

毎打席センター前ヒットぐらいを続けるってのは本当凄いことなんじゃないか? と何度も思っているのに、改めて驚かずにはいられない宮部みゆき『楽園』。いやもう怖いこわい。第3の眼を持った小学生の死、その子の過去を語りたがらない母親、火災した家から…

小川一水 時砂の王

藤子・F・不二雄『T・Pぼん』はやっぱり名作だよなあ、と再読させられた(もちろん幻の5話が収録された嶋中書店版だ!)小川一水『時砂の王』。こちらは歴史介入しまくり改変しまくりが面白さでもあって、映像化してほしい後半の盛り上がりは、とにかく読ん…

乙一 The Book ― jojo’s bizarre adventure 4th another day

今までの長編、短編の素晴らしき味わいすべてが合わさった渾身の1作。冒頭だけで、5年の思いもすべてふっ飛んでしまった乙一『The Book ― jojo’s bizarre adventure 4th another day』。4部を(本当に)忠実に再現したサスペンスとしてだけでなく、今まで乙…

キャロリン・キーン 古時計の秘密

18歳少女ナンシー・ドルーが遭遇する(殺人のない)ミステリ・シリーズ1作目、キャロリン・キーン『古時計の秘密』。児童向けミステリかと思えば、この息つく暇さえない面白さがあなどれない。小中学生の女の子があこがれる、元気いっぱいで頭の切れる少女像…

キャロリン・キーン 幽霊屋敷の謎

18歳の名探偵ナンシー・ドルー、2つ目の事件は独立戦争時に建てられた由緒ある屋敷の調査。友人ヘレンの叔母たちを苦しませる幽霊たちの正体とは? そして鉄道誘致にからむ事件では父親が誘拐されて……。キャロリン・キーン『幽霊屋敷の謎』も前作に引き続き…