山田悠介 Aコース

ゲームセンターに登場したプレイ1回に5000円もする「バーチャワールド」。暑さとくだらない日常に飽き飽きしていた高校生の4人と、金蔓にされている1人でプレイすることにした。「Aコース ハード」を選んだ彼らを待っていたのは燃え盛る病院からの”脱出”ではなく、どうやって生き残るかだった。そして一人の患者の自殺が意味することは……。

Aコース (幻冬舎文庫)

Aコース (幻冬舎文庫)

凄いの一言。デビュー作「リアル鬼ごっこ」でボロクソに叩いてしまったけど、ここまでやられると恐ろしい(ほめてますよ)。高校生たちがバトルロワイヤルをすることは面白いと同時に、結末が難しい諸刃の剣なんだけど、「あぁ、こうだよな!」と思わせる”同時代性”があった。
多分、失礼な書き方になるかもしれないけど、これを普通の人が読んでも怒るだろう。「馬鹿にしているのか」とか「やっぱりこれかよ」と言うかもしれない。かもしれないが、これを理解する人も確実に存在するということを知ってもらいたい。ダイレクトに僕たちのゲーム性を抉った作品だと評価したい。