高里椎奈 ドルチェ・ヴィスタ

左手をつないで

左手をつないで

1作目で数十人しかいない世界に紛れ込んできた少年の話をファンタジーとして書き、2作目では修理屋として働く高校生などの話をジュブナイル・ファンタジーのように仕上げていました。今作では「シリーズ最大の謎が解ける」といわれても謎があったかもどうか……と思っていたら、なるほど。しっかりとおとしています。
ちょっと問題だと思ったのは、1つが短すぎるわりに物語が多い。どれかを犠牲にしてでも長くしてしまい削るか、長くして4冊にしても良かったのではないでしょうか。上手い物語だと思わせているだけに、少し残念な出来だと感じます。
この2作目に関しては、本当に良かったですね。中3編を収録しているのですが2編目は絶賛しておきます。これ単体としても十分に楽しめる、1作目とはリンクしているわけではなくて”お伽話のように”をテーマにしているので、童話のようなものが読みたい人にはお勧め。
世間では「地雷だ」と言われますが、ファンタジー世界の描写としては好きです。読み終わる頃にはオチなんてどうでもよくなってましたね。高里椎奈の薬屋シリーズは1作目で断念しましたが、これは3作で終わると宣言し、しっかりと収束して終わったのでホッとしています。個人的には満足のいく構成でした。