宗田朋 柊ゆたか OZ―DOROTHY (1)

森の奥深く、薔薇の匂いに囲まれた屋敷の中で人知れず暮らす少女ドロシーと、人の姿ではないライオン。一人で目覚め、ライオンに髪を結ってもらい、薔薇とピアノさえあれば何一つ望む物はなかった世界。それが何時までも続くと思っていた。世界初の完全無料WEBコミック&オンラインコミック誌COMICSEED!(コミックシード!)で現在連載中(1巻での伏線が強烈に消化されていっているので「OZ―DOROTHY」を読もうとされる方は注意して下さい。)。

OZ―DOROTHY (1) (Seed!comics)

OZ―DOROTHY (1) (Seed!comics)

ねとらじリスナー推薦。こうやって知らない情報を得る手としては本当に重宝しています(前回のカミングアウト+予想外のオチは凄かったですね)。作者本人によるlapu-ラフ-も薦めておきます。石ノ森章太郎(009など)の絵が格好良い。この1巻が発売されたのが9月下旬で、終わりに「2巻が2004年10月下旬発売」と書いてあったので誤植かと思っていたのですが、本当みたいですね。

パワーパフ ガールズのようなイラストでもっとロリポップな漫画かと思いきや、帯の言葉を借りると「Neoロマンチックゴシック・ファンタジー」となんのこっちゃですが、Neoは兎も角、間違いなくロマンチックな舞台にゴシックな物語と、それを包み込んだファンタジー世界。分かりやすくいうならば”望まれた「美女と野獣」”でしょうか。

第1話で2人だけの世界に、部外者が入ってくるという強烈な崩壊感を見せてしまう説得力は強い。「鋼の錬金術師」でも明確で巨大な目的を見せてしまったように、こういった引き込み方は漫画の魅力だと思う。この漫画が面白いのは、2人ぼっちの世界を書けば良いのに、そうではなくて、部外者を物語毎に変え、それが伏線として膨れ上がっていくことです。2巻で消化されていくようですが楽しみですね。ライオンの正体や、ドロシーとの関係など。

1話も短く、全2巻予定ですか。それでも情報量が多いんですよね。連載を読んでも、良い意味で予想通りの伏線が回収されているので、下手に漫画を読むより、あっさりと楽しめるかもしれません。最後にオマケで収録されている4コマはイラストから想像されるスプラッタ・コメディかな。これは2人の世界を書いていて面白い。

コミカルなイラストなのに、パラダイス・ロスト的な物語が個人的に好きなので満点の星5つ。