岩明均 ヒストリエ

ヒストリエ(1) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(1) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(2) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(2) (アフタヌーンKC)

アレキサンドロス大王の記録者、エウメネスが若かりし頃。彼が育った町に帰ってきた時、静かに思い出す少年時代の記憶から、この物語は始まる。

歴史漫画のオール・タイム・ベストは恥ずかしながら、池田理代子ベルサイユのばら」(特に後半)でしたが、それを打ち破っての傑作です。「今年読んだ漫画の中では鬼頭莫宏『残暑』(Amazon)が一番かなあ」とも思っていましたが、この土壇場での逆転です。これは凄い。連載も静かに面白かったのですが、一気に読むとこれほどまでに印象が変わるものなのか。

連載を読んでいての何故いまさら? という感じでしょうが、とりあえず2冊を読んでから、今月発売したアフタヌーンを読んで欲しい。読めば分かる。傑作だと分かる。「げんしけん」や「おおきく振りかぶって」も面白いけど、これだけは本物。このタイミングを見逃さないで欲しい。絶対損します。この漫画を読んでも良いけど、今月のアフタヌーンを読まずして年を越すな(沙村広明の読みきり前編がかなり面白いです)。

岩明均は以前にも歴史漫画として、日本を舞台にしたのであれば「雪の峠・剣の舞」に、伝奇物としてコアすぎて打ち切られた「七夕の国」(僕は好きでした)。それに古代シチリヤを描いた「ヘウレーカ」(微妙だった)という、誰が見ても「歴史を描いたらこける岩明」というジンクスみたいなのがあったような気がします。

寄生獣」以降、パッとしなかっただけに、今回のリバイバルは完璧。今までのファンから、新規読者までを根こそぎ魅力に引き込んでいく「ヒストリエ」。とりあえず買って読んで、アフタヌーンを読んで欲しい。あの台詞が! あの台詞が!