三浦靖冬 花喰幻灯機

成人指定されていないことが疑問な、初期短編を収録した三浦靖冬『花喰幻灯機』。身長150cm以下の女の子が……、といったことを中心にしていますが、読みどころは背景の細かさと昭和のまま時が止まったような不思議な世界。看護士になるために作られたアンドロイド少女の物語たち。母の遺影の前で叔父と寝る少女、などなど、どの少女も一人では生きていけない物語ばかりです。未発表作である「ことりの巣」は長篇『とわにみるゆめ。』の元ネタですね。人を介護し続けるか、それとも自分の限界を知りスクラップとなるか。介護をすれば何時かは治り、分かれなければならない。長篇の切れ味がなかったのは本当に残念。

花喰幻燈機

花喰幻燈機