とみなが貴和 EDGE〈4〉 ― 檻のない虜囚

犬の連続虐殺事件。見えない鈍器と、犯人の姿 − とみなが貴和『EDGE〈4〉 ― 檻のない虜囚』。一作目は爆弾犯、二作目は幼女誘拐、三作目は毒殺魔、そして四件目は猟奇犯。犯罪に必要な専門課程もいらなければ、目的は犬なのでスケールも小さいし、誰にでもできる。だけど、この犯人の書き方は本当凄い。そこに行き着く手法は多少アンフェアだと思ったものの(これがシリーズの面白さでもある)、中盤からの展開は本当に胸が痛かった。道端の犬を簡単に殺しながら、目の前の生に心を動かされる犯人が出た行動は……、という部分に全てが詰まっている。僕の中で、この面白さは貫井徳郎『殺人症候群』に並びました。