綾守竜樹 囮捜査班御堂レイカ ― 痴漢鉄道の亡霊

『座敷童の掟 暴富は艶めく女体を贄に』と同じ作者ですが、これは痴漢電車もので綾守竜樹『囮捜査班御堂レイカ ― 痴漢鉄道の亡霊』。美女囮捜査官vs痴漢集団「千手観音」の死闘……にはならず、ジワジワと捕まえる意欲を殺がれていく描写がポイント。挿入などのメイン・シーンがなく(あったとしても変則的で)、焦らされ続ける点に力が入っています。ファンタジーが入ってしまうのは残念で、しかし現実社会だと結局は裏組織が登場するだけなので、評価を落とすべきか迷ってしまいますが、それで完成度が落ちているわけではない。痴漢ネタは少ないだけに買う人は買うだろうし、満たされる内容ではあるのでしょう。