『アンネの日記』+『スローターハウス5』と評されたマークース・ズーサック『本泥棒』が、いやいや素晴らしかったですよ。ナチスが力を伸ばしていくドイツ下で、死神が語る少女リーゼルの青春。本を盗むことによって勇気を得て、人に出会い、成長し、別れていく……。そんな少女の姿に心打たれないやつは本好きじゃねえよと。そう聞こえてくるようで、いやらしい作者だ。しかし、このキャラクタたちと設定は泣かせにかかってくるな、と思わせてそうじゃない。そうじゃないけど、じわりじわりとくる感情の隆起がたまらんなあ。大人向けに翻訳されている少年少女が主人公の作品は、良作が多いのかしら。今年のベストはこれでいいです。
- 作者: マークースズーサック,Markus Zusak,入江真佐子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/07
- メディア: ペーパーバック
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