北山猛邦 少年検閲官

北山猛邦『少年検閲官』がファンタジーと思いきや、「孤島ものなのに”孤島”である意味が見出せない」ような、そんな甘いものじゃなかった。書物が禁止された世界、日本の小さな町にやってきた英国少年クリスは、町で噂される”探偵”の存在を知る。家々に印される赤い十字架。町外れの森で起こる消失事件と首切り殺人……。ミステリ検閲官エノとの出会いが遅かったのが悔やまれるが、少年同士の初々しさは上々。トリックの冴える、文句のない実にしっかりとした作品だった(ある意味で凄まじい出オチだと笑ったけど)。

少年検閲官 (ミステリ・フロンティア)

少年検閲官 (ミステリ・フロンティア)