ルカ・ディ・フルヴィオ ディオニュソスの階段

昨年にちゃんと読み終えていればベスト作品に挙げていたのにと悔やめる。読むきっかけになったのはAsukaの図書室本館より(多謝)、ルカ・ディ・フルヴィオディオニュソスの階段』。新世紀(1900年)を祝う中、自分を神だと思いこむ猟奇殺人犯が登場する。彼を追うのは麻薬中毒のため左遷された警部ジェルミナル。鍵となる登場人物が、奇形の医者、サーカス団、製糖工場の面々と社会主義者たち。イタリア発の変態心に完敗だった。と派手な印象を与えるが、ドンパチありつつも中身は大変地味。しかし最後に語られる犯人の成長などを読むと、現代サスペンスへのカウンターとも呼べる秀作になる。これ1本を薦めていきたいと思った年の始まり。

ディオニュソスの階段 上 (ハヤカワ文庫NV)

ディオニュソスの階段 上 (ハヤカワ文庫NV)

ディオニュソスの階段〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

ディオニュソスの階段〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)