毎打席センター前ヒットぐらいを続けるってのは本当凄いことなんじゃないか? と何度も思っているのに、改めて驚かずにはいられない宮部みゆき『楽園』。いやもう怖いこわい。第3の眼を持った小学生の死、その子の過去を語りたがらない母親、火災した家から出てきた脂漏化死体……。超能力ものかと思わせて、主人公は9年前の拉致虐殺事件をルポした前畑滋子ときたもので、まったくスーパー・ナチュラルじゃない方向に進んでいくんだもの。書かれていないけど、読者に予想させる悪意が凄まじい。『理由』ほど謎に満たされているわけでもなく、『火車』ほどひっぱるわけでもなく……。そして読後感がすこぶるいい。
- 作者: 宮部みゆき
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