マイケル・スレイド 髑髏島の惨劇

マイケル・スレイド『髑髏島の惨劇』を再読。『カットスロート』事件の悲劇から5年。故郷に帰っていたジンク・チャンドラーは、カナダ沖の孤島で開かれるミステリ作家たちのパーティーへ行くが、再び死の淵まで追いやられる! 一方、本土では『ヘッド・ハンター』事件を彷彿とさせる連続怪殺人事件が始まった! もう失うものさえ無くなったディクラークを襲う刺客とは……。
一連のシリーズは”警察大河小説”と呼ばれるだけあって、キャラクタ小説としての面白さが半端じゃない。ニック・クレイヴン巡査長、検死医ジル・マクベスなどが新たに登場するといっても、今までの回想が多く挟まるのでここから読むと魅力は半減。とにかく主要(と思わされた)キャラクタは死ぬし、前作までのチョイ役が再登場するわって、そりゃ読むのスレイディストばっかになるよって気もする。その引き立てかたの上手さが翻訳ものの魅力だとも思うわけですが。
極端な伝奇サイコ・スリラーと、虐殺趣味に走った孤島もの『そして誰もいなくなった』(いなくはならないんだけど)。再読でさらにトリックの酷さがわかったものの、次作『暗黒大陸の悪霊』への伏線だと黙って読むしかないのか。『暗黒〜』が良作なだけに単発で薦められないのは本当に残念だったりもします。

髑髏島の惨劇 (文春文庫)

髑髏島の惨劇 (文春文庫)