マイケル・スレイド メフィストの牢獄

逃げられない拷問の果てに殺されてしまった男と、拉致された男。カナダとアメリカで発生した事件の共通点は苗字がキャンベルであることだった。巨石信仰の謎を解くため、歴史上に存在した”秘宝”を追うメフィストは、ついにカナダ騎馬警察RCMPの隊員までを誘拐しようとするが……。ディクラークに最大の敵現る! なマイケル・スレイドメフィストの牢獄』。3人のうちジェイ・クラークだけの単独執筆になったからか、今までの無茶な遊び心は希薄になったものの、真っ当な科学捜査ミステリになっていた。そして、ディクラークの裏とでも表現すべき”メフィスト”の造形が素晴らしい。創元版が序章、前作までが第1部、そして今作から第2部が始まると考えれば、巨大な敵”メフィスト”と勝負をする物語は新しく、幕開けに相応しかったといえるのではないでしょうか。

メフィストの牢獄 (文春文庫)

メフィストの牢獄 (文春文庫)