三津田信三 厭魅の如き憑くもの

その村は、何時でもどこでもカカシ様が見ている……。土地神信仰が根強い小さな村では「黒の家」と「白の家」が対立していた。青年小説家は民間伝承の調査のため訪れるが、不可解な子どもたちの”神隠し”と”連続殺人事件”を目の当たりにする。
ひぐらしのなく頃に」も鬼隠し、綿流しで三津田信三『厭魅の如き憑くもの』と同じような落としかたが可能だったと思える(目的が違うから願望ではない)。読書スタイルが変わったのもあって、少しずつゆっくり読んでは考える時間が増えたので、作者の狙いを当てるのは比較的容易かった。一ヶ所の違和感に気づけば、一気に紐解けていく快感が実に深い作品だった。作中でプラスとして働いていたホラー色の強さが、最後の最後でマイナスに転じてしまったのは悲しい。

厭魅の如き憑くもの (ミステリー・リーグ)

厭魅の如き憑くもの (ミステリー・リーグ)