曽根圭介 鼻

久しぶりに角川ホラー文庫読んだな。ここ最近の大長編ものに疲れたので、サクッと読めて、オオッと楽しめる連作短編集を探していたところ、まったくもって心を満たしてくれた1冊。乱歩賞を多作で受賞し、第14回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した「鼻」を含む3編を収録。
個々の株式が上場され、その人間の値を誰もが知ることができる「暴落」。酔いから覚めるとビルとビルの間で、手錠をかけられていた「受難」。どちらも角川ホラー文庫らしい、ハッピーエンドを期待した僕が馬鹿をみた作品。なんとも笑えてしまう病的な暗黒面を見せ付けられる。
テング鼻はブタ鼻に虐げられる世界で、テングを救うべく、違法の転換手術を行おうとする私。自己臭症に悩む刑事、俺は2人の行方不明少女2人を操作する中、ある人物と出会う……。といった一風変わった受賞作「鼻」。大森望が多分事細かに解説していることも含めて、オチているのでは? と思うのは僕だけではないはず……。

鼻 (角川ホラー文庫)

鼻 (角川ホラー文庫)