ジェフリー・ディーヴァー 魔術師 イリュージョニスト

警察が包囲した密室から、犯人が光を放って消失した。その建物に何時入ったのか、どうやって抜け出したのかも不明。かつて手品に関わる人物による犯行だと現場から考える、四肢麻痺の元科学捜査官リンカーン・ライム。華やかな舞台を血で染めるイリュージョニスト”魔術師”の手の内も読め、追い詰めたも同然と思ったが……。
犯人を追い詰めていく手法は警察小説。様々なトリックを駆使して隠れる”魔術師”との攻防戦はスリリング。様々なイリュージョニストの師弟関係、ライムとサックスの恋愛模様。あまりの濃さに咽そうにもなるが、全てを包み込むプロットは本格推理小説になっている。巧みなエンタテイメントをここ1年で楽しんでしまっていいのだろうか。
余談。個人、今年一番の最萌キャラであるキャサリン・ダンスが主役をはる『スリーピング・ドール』こそ読んでしまいたいが、評判もあって、文庫化まであえて残しておくことにします。

魔術師(イリュージョニスト)〈上〉 (文春文庫)

魔術師(イリュージョニスト)〈上〉 (文春文庫)

魔術師(イリュージョニスト)〈下〉 (文春文庫)

魔術師(イリュージョニスト)〈下〉 (文春文庫)