クレイグ・ラッセル 血まみれの鷲

ドイツ、ハンブルク州で起こる猟奇殺人事件。腹部を裂き、肺を抜き出して両肩の上に並べた姿は、まるで鷲のよう……。第二の被害者である娼婦を発見した直後、殺人犯”シュフェンの息子”からファーベル警視宛てのメールが届く。事件は”シュフェンの息子”を止められないまま政治、警察、企業まで巻き込んでいく大事件になっていくが……。
ドイツの戦中・戦後史、ヴァイキング伝説、神話が絡まりあっていく完成された警察サスペンス。マイケル・スレイドの突飛さぶりを抜いた感じには、ファンとして寂しいところだが、まとまりから見れば、この作品こそ薦めたい。突入や囮捜査、死体発見のシーンでは驚きに満ち、緊張感高いまま最後まで読める。ファーベルを筆頭としたチーム内の優秀な面々も、もちろん味がある。マイナーな印象もあったが、十分に力のある作品だった。ぜひ続編も訳してほしいなあ(グリム童話をモチーフにした連続殺人ですよ?)。

血まみれの鷲 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

血まみれの鷲 (ハヤカワ・ミステリ文庫)