ジョー・R・ランズデール ロスト・エコー

おたふく風邪の悪化から聴力を失ったハリーだったが、回復後、何故か過去の音が聞こえるようになる。それは音に記憶された悲しみだった。殺人現場、事故、暴力を見て、感じてしまうハリーは、酒に溺れ、悪友と馬鹿をするようになるが、酔っ払った格闘家と出会い……。
幼馴染との別れや、大学で美女と出会うことなど、悲しき青年ハリーの恋を書いたランズデールにしては珍しいと感じさせる作品。持ち前の暗さや、どことなく漂う悲しみも含みつつ、ランズデールらしい軽いテンポで読ませてくれる。全体として、もの足りない部分は多いが、そこそこ楽しめるのは嬉しいかぎり。

ロスト・エコー (ハヤカワ・ミステリ文庫 ラ 12-3)

ロスト・エコー (ハヤカワ・ミステリ文庫 ラ 12-3)