大森望・日下三蔵編 虚構機関 年刊日本SF傑作選

07年に発表された年間SF短編傑作選。伊藤計劃山本弘小川一水らへんが収録されたことと、日下三蔵も選者ならと。大森望が薦める”SFと呼べる”的作品はほぼ受けつけなかったが、これを編んでくれたことは凄く嬉しい。一度は序文で諦め、しかし全部読もうとふり返った円城塔「パリンプセスト あるいは重ね書きされた八つの物語」が、なんとも自分にとって大きな収穫だった。アフリカ民族紛争を書いた伊藤計劃「Indifference Engine」、異星人が派遣したロボットが犯人と思われる密室殺人を扱った林譲治「大使の孤独」が好みか。そしてよくは分かっていないが、円城塔に心打たれた。円城塔をどうかと悩んでいる人には一読を薦めたい。

虚構機関―年刊日本SF傑作選 (創元SF文庫)

虚構機関―年刊日本SF傑作選 (創元SF文庫)