フレデリック・フォーサイス ジャッカルの日

元軍人たちによって組織された、政府転覆を狙うテログループ・OAS。彼らのシャルル・ド・ゴール大統領暗殺計画は巧妙に仕組まれるも、6度にわたって失敗する。フランス政府はOASへの徹底的な調査により、組織壊滅は目前とされた。しかしOASは政府へ最後の一手を仕掛けるため、組織外のプロ暗殺者をフランスに呼ぶ。彼のコードネームは”ジャッカル”。
大統領の死を阻止するために呼ばれたルベル警視と、暗殺者ジャッカルの頭脳合戦を書いたスパイ・アクションであり、最高のミステリでもあり、ハード・ボイルドであり、歴史小説でもある。とりあえず登場人物たちがプロばっかりで格好いいんだわ。この書きかただけでも一読の価値はあった。序盤から終盤まで"ジャッカル"が計画のために用意するシーンが多く、何をしているのか分かりにくい。しかし、ルベル警視の数少ないデータからくり出す渾身の1手を、まるで知っていたかのように余裕をもって避ける”ジャッカル”の姿は、嫌でも痺れさせられる。また世界の警察組織に頼りながら、頂上レベルでややこしくなる政治力にも屈せず、冷静に頭を使うルベル警視はやばい。

ジャッカルの日 (角川文庫)

ジャッカルの日 (角川文庫)