スティーヴン・ハンター ブラックライト

アリゾナ州の田舎で静かに暮らすボブ・リー・スワガーのもとに、青年ラスが尋ねてきた。英雄の話を書きたいというラスの依頼を断るボブだったが、その英雄は自分ではなかった。1955年、アーカンソー州の警察官と凶悪犯がトウモロコシ畑で起こした銃撃戦。事件解決を目の前にした警察官と、出所したばかりの犯人は死亡。しかし警察官の死体には、事件現場から確認されていない長距離射撃の弾痕が……。ボブの父、誰もが認める英雄、アール・リー・スワガーの死は仕組まれたものだったのか?
『極大射程』に続くシリーズ2作目も、とことん読ませる傑作。本筋は、過去の事件を捜査し、その黒幕から狙われ、とことん冷静に処置して反撃する、小刻みに盛り上げる作品になっている。徐々に明かされる真相とともに、交互に書かれるアール視点の過去も凄く洋物臭く……、いいんだわ。そして戦闘が凄い。集められた先鋭の殺し屋集団がボブに襲い掛かるシーンは、もう山風忍法帖ばりのスピード感だ。とりあえず凄いんだけど、楽しんでもらうには読んでもらうしかない。
極大射程〈上巻〉 (新潮文庫) 極大射程〈下巻〉 (新潮文庫) ブラックライト〈上〉 (扶桑社ミステリー) ブラックライト〈下〉 (扶桑社ミステリー)