デレク・ニキータス 弔いの炎

16歳の誕生日を間近に控えたわたしの目の前で、運転席に座っていた父が強盗に射殺された。わたしが混乱する間もなく、母が精神的に打ちのめされての自殺未遂。地下室で偶然見つけた5000ドルの束……。わたしの知らないところで何が起こっているのか。ギャングの妊婦、孤独な女刑事、そしてわたしの3人が交差するとき真相が浮かびあがる……。
アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞・最優秀新人賞ノミネート作。事件を起こした女、起こされた少女、追う女たちが混乱、苦悩する姿を書いた心理サスペンスになっている。事件以外の描写が多く、無駄に長ったらしい印象もあったが、そこまで書かれて1冊になる仕上がりだと理解できる。最悪の事態に巻き込まれていく女性たちだが、誰もが生き延びたいと希望を捨てず、懸命にラストスパートへかけていく力強さが、事件の嫌らしい真相含め読みどころになる。

弔いの炎 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

弔いの炎 (ハヤカワ・ミステリ文庫)