柳広司 ジョーカーゲーム

殺人、自殺は決して最後の手段ではない。最悪の手段だ……。第2次世界大戦時の日本に、能力高い先鋭たちを集めたスパイ養成学校があった。鬼のカリスマ中佐・結城が率いる”D機関”は軍隊の反発を招きながら、東京、横浜、上海、ロンドン、様々な事件に介入していくが……。
過酷な試験を潜り抜けてきた秀才たちを主人公に、過酷な侵入捜査を書いた連作短編集。1つのテンポがよく、スパイたちは没個性的だが実にスマート、事件は複雑にして明快、驚きもありと良作が並ぶ。今までの作品から漏れたと思われるネタも使われていたり、多彩なシチュエーションが用意されていたり、小刻みなジャブのよう。続編も同形式のようなので楽しみにしているが、僕の望みはもっと濃い、重い長編で読ませてほしいのが正直なところだ。

ジョーカー・ゲーム

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