トマス・ハリス 羊たちの沈黙

これまでに5人の女性を殺し、皮膚を剥いでは全米各地に遺棄する凶悪犯ヴァッファロゥ・ビル。彼を捕まえるために、FBI訓練生スターリングは特別に呼ばれるが、その目的は天才精神科医・連続殺人犯ハンニバル・レクター博士から情報を引き出すことだった。しかし上院議員の娘が誘拐され、ヴァッファロゥ・ビルの可能性が挙がったことから事件は激しく加速し……。
先日読み終わった『レッド・ドラゴン <決定版>』から衝動的にシリーズ2作目を再読してしまった。やはり面白い。サイコ・サスペンスの要素は勿論のこと、トリックを含めた謎の使い方が小ネタ、大ネタ含めて効果的で上手い。そして前作から引き続き姿を見せる優秀なキャラクタ、天才にして奇怪な安楽椅子探偵を演じるレクター博士、頭脳明晰でありながら政治の波にぶち当たる新米スターリングなど、不思議と好感を抱いてしまう良さが魅力の1つだろう。改めて再読すると、その巧みがよくわかる。

羊たちの沈黙 (新潮文庫)

羊たちの沈黙 (新潮文庫)