アイザック・アシモフ 鋼鉄都市

人間は80億人に達し、かつて宇宙へ植民した子孫スペーサーの支配下にあった……。スペーサーの科学者サートン博士が殺された、恐らく人間の手による事件のため、事件担当を命じられた刑事ベイリは、ロボットのダニールと組むことになる。
学生時代以来の再読。地球人類とスペーサー居住区を隔てた壁、通れない凶器を巡るミステリ。当時はSFを舞台として読んだが、今度はなんとSFマインドに溢れた小説なんだろうと驚く。そりゃ当然だと言われてもしかたがないが。犯人探しに焦点が絞られることも当然あって、その先にある自分たち人間の未来、そしてスペーサーとのあり方を探っていく。そんな主人公たちの世界の捉えかたが、トリックの満足感だけでなく、次の物語を渇望させられる。

鋼鉄都市 (ハヤカワ文庫 SF 336)

鋼鉄都市 (ハヤカワ文庫 SF 336)