コリン・デクスター 死者たちの礼拝

礼拝中に起こった教会での殺人は、牧師の飛び降り自殺に関係しているのか? 休暇中のモース主任警部は捜査にのり出すが、関係者たちは行方をくらまし、事件は迷宮入りしようとしていた。頭を悩ますモースだったが、関係者たちは第3、4の死体となって発見され……。
英国推理作家協会賞シルヴァー・ダガー賞を受賞したシリーズ4作目。何度も仮説をたてては崩壊させ、最後の仮設をたてては新しい証言に壊され……。モースの想像力が直に書かれる”論理のアクロバット”が大変読みにくくも、そこがまた何よりも魅力。シリーズ1作目『ウッドストック行最終バス』、2作目『キドリントンから消えた娘』が評価されているが、本作も劣らずの傑作。盲点を突く要素がいくつも用意されていて、そこを最後まで明かさない構成に混乱もさせられる、終盤は実に気持ちいい。
また事件関係者の女性と惹かれあう、中年独身男性のロマンチック・ミステリとして名シリーズで、僕はここが何よりも好きだ。今回も当然のように恋をするモースだが……。小台詞が最後まで余韻を残す作品で、本書をとりあえずシリーズ・ベストとしたい。

死者たちの礼拝 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

死者たちの礼拝 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ウッドストック行最終バス (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ウッドストック行最終バス (ハヤカワ・ミステリ文庫)

キドリントンから消えた娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

キドリントンから消えた娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫)