超弦領域 年刊日本SF傑作選 日下三蔵・大森望編

二選目となる、08年に発表された作品から15編を選んだ年刊日本SF傑作選。それほどSFを嗜まない僕でも知っている有名どころから、非SF界からピックアップされた作品まで。ノックスの十戒を道具にした法月綸太郎「ノックス・マシン」に期待したが、大変きれいにまとまった終わりに肩透かしを食らわされたといっては、贅沢すぎるか。もっとも衝撃を感じたのは、相方を亡くした漫才師がロボットと共に復活ライブを行う、堀晃の「笑う闇」。バカ話と思って読んだが、中年男性の会話、大阪の空気など、職人芸のような巧みさに、思わず引き込まれた。津原泰水「土の枕」の読み応え、藤野可織胡蝶蘭」の不思議感も気に入り、こういった作品に触れられるのは嬉しい。あとは小川一水「青い星まで飛んでいけ」で、僕の足りていなかったSF分が補給できたか。

超弦領域 年刊日本SF傑作選 (創元SF文庫)

超弦領域 年刊日本SF傑作選 (創元SF文庫)