ジョー・R・ランズデール ババ・ホ・テップ 現代短篇の名手たち4

現代短篇の名手たち4はランズデールの話題作「ババ・ホ・テップ」を収録! 老人ホームで実は生きていたエルヴィスとミイラ男の戦いを書いた話……。これも良作なんだけど、この短編集はランズデール・ベストといっても過言ではない。持ち前の静かな恐怖感からミステリ、コメディまで存分に揃えたラインナップが魅力的だ。変な仲間と共に連続殺人犯(と思われる男)を追う「ハーレクィン・ロマンスに挟まっていたヌード・ピンナップ」。狂った自覚がない青少年の顛末を書いた「ステッピン・アウト、一九六八年の夏」。なだれ込むような笑いと恐怖が混在する佳作「草刈り機を持つ男」(本当に怖かった……)。それにハップ&レナードもあるわ、まるで一族史小説のような母へのエッセイは最後の一文に涙させられるわ、挙げたら限がないとは当にこのこと。ファンは確実に満足する出来であり、読みやすさと面白さから海外短編入門に挙げたい1冊だ。

現代短篇の名手たち4 ババ・ホ・テップ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

現代短篇の名手たち4 ババ・ホ・テップ (ハヤカワ・ミステリ文庫)