ピーター・ラヴゼイ マダム・タッソーがお待ちかね

1888年、ロンドンの高級写真館で助手が毒殺された。館主夫人の容疑が濃厚として逮捕され、彼女は公判前に全ての罪を告白した。絞首刑は3ヵ月後。この事件は静かにイギリス犯罪史に刻まれるはずだった、1枚の写真が送られるまでは。そこに写っていた”鍵”は、彼女の不可能性と無罪を主張していた……。
英国推理作家協会賞シルヴァー・ダガー受賞。タイムリミットを回避しようとする刑事、大人しく待つのみの死刑執行人、そして時迫る刑務所。3者の視点で書かれる事件、館主夫人の様子から、事件の真相までが実にドラマチック。謎も魅力的なのだが、その見せ方、クライマックスにかけての解き方に魅了される。登場人物が終結しての会話は、心に残る名シーンだろう。

マダム・タッソーがお待ちかね (ハヤカワ・ミステリ文庫)

マダム・タッソーがお待ちかね (ハヤカワ・ミステリ文庫)