斉藤洋 白狐魔記 天草の霧

仙術を学び不老不死となった狐、白狐魔丸。人間に興味を持ち、その魅力に惹かれていく中、戦で生まれる”死”を静かに見つめる。源平の戦い、蒙古の襲来、変容する京の都、天下を統一せんとした若き男……。そして彼はまた、神の子と自ら名乗る、不思議な妖力を持った一人の少年、益田四郎時貞と出会う。。
『ルドルフとイッパイアッテナ』の児童小説家が書く、大河伝記ロマン第5弾。1冊だけ読んでも魅力は伝わりにくいが、様々な人間との出会いや思い出、永遠に交じることないヒロイン雅姫との再開が、ここで物語を花開らかせた。悲惨かつ劇的に書かれた島原の乱のクライマックスから、次回作『元禄の雪』へと続くプロローグは一気読み。3作目『洛中の火』といい、雅姫が激情に身を委ねるシーンは凄まじい。これだけで安直に傑作だといいそう。

天草の霧

天草の霧

源平の風 (白狐魔記 1) 蒙古の波 (白狐魔記 2) 洛中の火 (白狐魔記 3) 戦国の雲 (白狐魔記 4)