ディック・フランシス 興奮

障害レースで奇妙な大穴が続いた。競争後はどの馬も興奮冷めない様子で、薬物使用の疑いが強まった。しかし、厳しい検査をしても、薬物などが発見されることはなかった。不正を確信したレースの理事は、オーストラリアで種馬牧場を経営するロークに真相解明を依頼するが……。
本格推理というよりも、スパイ小説に近い作品性と読み応えに驚かされた。元全英チャンピオン・ジョッキーが書いているだけあって、牧場の様子が事細かに書かれ、馬と藁の臭いが思い浮かぶ。あるトリック集でネタを知っていたが、前述した雰囲気で物語を楽しむことができた。物語の舞台から40年が経っているが、この当時の風景描写は格別だ。

興奮 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12-1))

興奮 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12-1))