障害レースで奇妙な大穴が続いた。競争後はどの馬も興奮冷めない様子で、薬物使用の疑いが強まった。しかし、厳しい検査をしても、薬物などが発見されることはなかった。不正を確信したレースの理事は、オーストラリアで種馬牧場を経営するロークに真相解明を依頼するが……。
本格推理というよりも、スパイ小説に近い作品性と読み応えに驚かされた。元全英チャンピオン・ジョッキーが書いているだけあって、牧場の様子が事細かに書かれ、馬と藁の臭いが思い浮かぶ。あるトリック集でネタを知っていたが、前述した雰囲気で物語を楽しむことができた。物語の舞台から40年が経っているが、この当時の風景描写は格別だ。
- 作者: ディック・フランシス,菊池光
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1976/04/20
- メディア: 文庫
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